退職後における守秘義務について
退職後の従業員にも守秘義務を課したい
経営に欠かせないさまざまな企業秘密が存在する企業では、今後も安定的に事業を続けるために、退職後の労働者にも守秘義務を課したいと考える傾向があります。
またSNSやブログといった個人が情報公開できる手段が増えている今の時代は、会社内の機密情報が社会に漏らさないためにも、退職者によって生じるリスクを回避したいと考える傾向があるのです。
では、これから会社を辞めてしまう従業員に対して、事業主はどのように守秘義務を課せば良いのでしょうか?
営業秘密の管理が重要
会社がコツコツと積み上げた製造方法、取引条件、顧客や仕入先のリストといった情報は、不正競争防止法によって保護されている営業秘密です。
こうした情報を営業秘密として保護するためには、会社側の管理や、事業活動に有用な内容であること、公然に知られていないことといった3条件を満たす必要があります。
逆にこの3条件が揃っていない情報については、営業秘密に当たらないという判断に繋がることもありますので、退職後の守秘義務を徹底したいと考えているなら、会社側でもきちんとした情報管理を行う必要があると言えるでしょう。
就業規則を上手に活用する
解雇や退職によって会社を去った後にも「会社の秘密を外部に漏らしてはならない」といった守秘義務は、就業規則を使って従業員に周知徹底する必要があります。
また、守秘義務違反が発覚時に損害賠償請求することを就業規則内に記載しておけば、退職者だけでなく在職中の従業員に対しても良い意味での予防ができると考えられるのです。
採用時の誓約書も有効
元従業員の軽率な行動によって会社に不利益の出る秘密情報の漏洩は、絶対に防がなければならない存在です。
もし従業員の全てが就業規則の細部まで確認しているかに不安がある場合は、採用時の誓約書を使って、「会社の秘密情報を漏らした時には損害賠償請求も受ける」といった内容を明示すると良いでしょう。
また念には念を入れよといった意味では、解雇や退職時の誓約書も大変効力の高い存在となりますので、従業員における採用や退職のさまざまな局面で文書を上手に活用することをおすすめします。
退職後の守秘義務で疑問や不安がある場合は?
今回紹介した退職後の守秘義務や、秘密情報の扱いについて不安や疑問がある場合は、不正競争防止法や労働基準法に詳しい弁護士に相談をしながら、より良い策を考えるようにしてください。
また解雇された元従業員については、会社への逆恨みなどにより過去のサービス残業代請求などを行うリスクもありますので、こうしたトラブルを含めて総合的に助言のできる弁護士への相談が安定的な事業運営を可能にすると捉えて良いでしょう。