労働時間と拘束時間の違いと捉え方
目次
拘束時間と労働時間の違いや捉え方、ご存知ですか?
従業員を雇用する事業主が拘束時間と労働時間の違いを知らずに会社経営をしていると、労働者側から「これは労働基準法違反では?」といった疑念が生まれることもあります。
またこの両者の違いを曖昧にしていると、サービス残業問題に発展する可能性も出てくるため、会社経営に支障をきたす訴訟などを防ぐためには、事業主自身も正しい捉え方を把握しておくべきだと言えるでしょう。
拘束時間と労働時間の定義とは?
ハローワークの求人票などにも書かれる労働時間は、使用者の監視下で従業員が労務を提供する時間です。
その中には、使用者側で実施する朝礼や、仕事に使った道具などの後片付けをする時間も含まれます。
これに対して拘束時間というのは、実働時間と休憩時間を合わせた使用者の監視下にある時間のことです。
ランチタイムとも言える昼休憩時間を挟んで午前と午後で仕事をする日勤の会社では、朝の始業から夕方の終業までを拘束時間と捉えます。
休憩時間の中にも労働時間に含まれるものもある
例えば、乗り物の安全運行に欠かせない業務上必要な仮眠は、労働時間の中に含まれる存在です。
また工場などで従業員の集中力や作業効率を高めるために1時間~2時間に1回全員がとる5分~10分の休憩についても、カテゴリ的には労働時間に分類されると捉えて良いでしょう。
労働時間に含まれない休憩時間の定義とは?
労働時間に含めない休憩時間には、労働者がその時間を自由に利用できる特徴があります。
前述の例で、ランチタイムの1時間に従業員が自由に外食や買い物に行くことができれば、それは間違いなく労働時間に含まれない休憩時間と捉えられるのです。
これに対して、デスクでお弁当を食べながら電話番をしていたり、トラブル対応で職場を離れられないといった状況の場合は、賃金の発生する労働時間に含まれると言えるでしょう。
休憩時間に自由のない会社は要注意
休憩時間の電話番などにより労働時間と拘束時間がイコールに近い状態になっている会社では、実際に仕事に従事している分の賃金を支払う必要があります。
また休憩時間については労働時間によって必要時間数が定められていますので、事業主側で休憩時間、労働時間、拘束時間の定義が曖昧な場合は、労使間トラブルが生じる前に再確認をしておく必要があると言えるでしょう。