従業員が失踪した場合の対処方法
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従業員が失踪で行方不明になった場合の対処法
従業員の無断欠勤が続いた時には、その行動が解雇理由になると考えられます。
例えば「2週間以上の無断欠勤が続いた場合は懲戒解雇とする」といった定めを就業規則の中で設けておけば、労働基準法に沿った手続きを通して解雇ができるのです。
しかしスタッフの無断欠勤が失踪によるものだった場合は、「使用者側の意思を当該従業員に伝えられない」という理由で、解雇手続きが進められないこともあるのです。
失踪による無断欠勤の場合は公示送達を使う
無断欠勤をしている本人が失踪によって自宅や実家にもいない場合は、民法98条で定められた公示送達の手続きを簡易裁判所でとる形となります。
失踪者の解雇に関する公示送達の申し立ては、従業員の住所地を管轄する簡易裁判所に対して、「当該従業員が行方不明になってしまった」という疎明資料を添えて行います。
この申し立てにより簡易裁判所が企業に対して公示送達の許可された場合は、公示送達の存在を新聞や官報への掲載や市区町村役場への掲示といったことを、会社側に命令する形となるのです。
この方法で掲示・公開された解雇への意思表示から2週間経つと、会社側の意思が従業員に到達したと判断されるのです。
自動退職を規定化する方法もある
こうした問題が生じることで必要となる公示送達の手間を省くためには、所在不明の事実や長きに渡る無断欠勤があった場合に対して、就業規則の中で自動退職を規定化することも可能です。
失踪による長期無断欠勤を所在不明と捉えることができれば、退職における黙示の意思表示という判断により、依頼退職を行なえます。
失踪した従業員に退職金を支払う必要はありますか?
失踪した従業員本人から請求がない限り、会社は退職金を支払えない仕組みです。
また労働基準法23条・115条では、万が一失踪した従業員が現れた場合であっても、5年以内に退職金請求をしなければ、その権利が消滅することを定めています。
失踪者は会社を困らせる存在
ここまで紹介したとおり、従業員が突然失踪した場合は、解雇を含めたさまざまな手続きによって会社側が頭を抱える状況が多いと捉えて良いでしょう。
また給与が直接従業員に手渡しされている場合は、賃金の支払いに関する問題も生じてきますので、その判断に悩む時には労働基準法のプロとも言える弁護士に相談するのが理想と言えそうです。