就業規則の中でとても危険な昇給規定とは?
目次
就業規則に書かれた危険な昇給規定とは?
就業規則の中に昇給規定を設けた場合、その文言や経営状態によっては会社の首を締めることもあると考えられます。
しかし会社設立時に作成した就業規則は、事業主と従業員の間にある共通ルールとも言える存在です。
また事業主には就業規則の周知義務がありますので、見やすい場所に保管やファイル共有などをしている時点で、その内容をきちんと守らなければいけないと考えれば、ルール作りをする際に後々問題にならない記載をする必要があると言えるでしょう。
昇給規定が労使間トラブルに繋がるケースと理由とは?
就業規則に書かれた昇給規定が問題の種となるのは、その内容が定期昇給であると判断される時です。
例えば、「毎年必ず4月に昇給を行う」といった文言が記載されている場合は、どんなに会社の経営状況が悪くても、就業規則に書かれているとおり「必ず」定期昇給をする必要が出てくるのです。
労使間の問題が起こらない昇給規定のポイントと書き方とは?
これに対して従業員との問題が起こらない会社では、賃金改定や昇給規定の項において、「原則として4月に」といったフレーズを入れています。
またその後に、「従業員の勤務成績および会社の業績から各人ごとに決定をする」と記載しておけば、4月に昇給がなかったスタッフからも不平不満を言われることがなくなるのです。
この他に、「特別な必要がある時に臨時の賃金改定が生じることもある」と書いておけば、会社の業績悪化によって賃金全般の見直しをかけやすくなります。
既に記載している定期昇給を廃止することはできる?
既に就業規則内に記載してしまった定期昇給の内容は、従業員にとって不利益変更になるという理由で、対応方法が非常に難しい実態があります。
この場合は、定期昇給を廃止することをきちんと説明した上で、当該従業員から契約書と同意書への署名押印をもらわなければなりません。
また同意をもらわずに強行で就業規則を変更した場合は、新たな内容が無効になるだけでなく、労働基準法違反とされてしまうため注意が必要です。
もし現行の就業規則を確認して昇給規定や賃金改定の項に問題があると気づいた場合は、より良い今後の対応策を決めるためにも労働問題に強い弁護士に相談をしてみてください。