給与明細の電子化で違法になる条件と同意の重要性とは?
給与明細の電子化に違法の条件はありますか?
平成18年4月1日施行の税制改正で認められた給与明細の電子化は、多くの事業主が注目する違法性のない事務手続きの方法です。
しかし所得税法では給与明細の電子化を行う際に、従業員の承諾を義務付けていますので、この部分をクリアすることが導入時の注意点と捉えて良いでしょう。
これに対して労働基準法においては、給与明細の交付義務はありませんので、クリアすべきハードルは所得税法が中心と言えそうです。
まずは全ての従業員から承諾をとる
このシステムを社内導入する際には、まず全従業員から承諾をとる必要があります。
アナログな運用では、システムの説明や発行方法を記載した同意書を配布し、そこに署名押印をしてもらう方法が一般的のようです。
これに対して電子発行専用のシステムを使用する場合は、初回ログインの際に画面上に承諾書を表示し、「同意をする」を押した従業員に対してのみ給与明細の表示や印刷ができるようにする運用方法もあると言われています。
後者の方法を用いる場合は、承諾書をよく読まないまま従業員が同意ボタンを押してしまうことも考えられますので、後々生じる「同意をした・しない」の問題を防ぐためにも、混乱な起こらない運用を検討する必要があると言えそうです。
同意をしない従業員がいた場合は?
従業員から給与明細の電子化についてNGの返答を得た場合は、当該従業員に対して今までどおり書面で発行しなければなりません。
このケースに該当した会社では、「電子発行できる社員」と「電子発行ができず書面で配布する社員」の2パターンが混在する形となりますので、1人でも同意の得られない状態の場合は電子化のメリットがかなり落ちると捉えた方が良さそうです。
情報漏えいのリスク管理も必要
電子化によって簡単に閲覧できる給与明細のデータは、従業員にとっては大事な個人情報です。
こうしたデータの漏洩や紛失、全く関係のないスタッフによる閲覧などが行われると、セキュリティ体制といった意味でも会社の対応に疑念が生じる結果に繋がります。
またパスワードについても生年月日などのわかりやすいものでは、他の従業員にファイルを開かれてしまうリスクが高まりますので、スタッフひとりひとりの個人情報管理に関する意識を高めることも給与明細の電子化には欠かせない取り組みになると言えそうです。