裁判員制度に関する内容を就業規則に盛り込む際のポイント
就業規則の中に裁判員制度の内容はありますか?
平成21年5月21日より始まった裁判員制度は、多くの会社の就業規則にこの制度に合った記載が必要な状況が生まれています。
また会社で働いている従業員が裁判員に選ばれる可能性はゼロではありませんので、どんな地域で起業する事業主の皆さんでも早めに就業規則の内容変更などの対応を行なった方が良いと言えるでしょう。
今回は、問い合わせの多い裁判員制度と就業規則の関係や注意点について詳しく解説していきます。
裁判員制度とは?
裁判員制度とは、裁判員として選出された国民が刑事裁判に参加する制度の総称です。
裁判員は、市町村の選挙管理委員会が作成した名簿にもとづき、翌年の裁判員候補者名簿が作成される仕組みとなっています。
その後、名簿登録の通知とあわせて辞退理由や就職禁止事由の該当・非該当をたずねる調査票が本人に送付される仕組みです。
こうした形で選任される裁判員は、学生、70歳以上、地方公共団体における議会議員(会期中に限る)などといった条件に該当しなければ、原則として辞退することはできません。
また従業員が裁判員に選ばれた場合は当然会社を休む必要が出てくるため、こうした状況下での判断や対応をスムーズに行うためにも、就業規則の中に裁判員制度に関する記載を行う必要があるのです。
会社は裁判員の時間を保障する必要がある
裁判員として裁判に参加する時間は、労働基準法で定める「公の職務の執行」に該当する理由で、会社側から保障されるべき位置づけとなります。
しかし労働基準法では、裁判員の仕事を行う従業員に対して休暇制度を与えるべきという事業主の義務を定めていない実態があるのです。
そのため、裁判員によって会社を休むスタッフに対して「有給休暇にするか?無給にするか?」といった部分は事業主の方で決めるべき事項となります。
裁判員に選ばれた従業員への対応は有給・無給どちらが良いのか?
有給で裁判員の仕事ができる場合は、本人にとって裁判所から支給される日当と会社の給与を両方受け取れるメリットが生まれます。
これに対して会社側が無給とする就業規則を作った場合は、「休んでいる間は会社から給与がもらえない」とか「仕事が滞る」といった多くの不安要素が出てくることにより、裁判員としての参加意欲が低下する状況が危惧されているのです。
後者については会社側にとって直接関係のないことではありますが、自社の従業員を社会のために行う職務に積極参加させると考えれば、モチベーションを削がない対応も事業主には求められている大事なポイントと言えそうです。