従業員が病気で入院!傷病手当金申請と有給消化どちらで対処すべき?
傷病手当金申請と有給消化、どちらが良い?
従業員が病気で入院をした時、有給消化と傷病手当金申請に対して「どちらを選択すべきなのだろう?」と頭を悩ませる事業主は多く見受けられます。
またその入院が10日程度の短期間だった場合は、その判断が逆に難しくなると捉えて良いでしょう。
今回は、実際に多くの会社で行われている入院をした従業員への対応を確認していきます。
傷病手当金とは?
傷病手当金というのは、被保険者となる従業員が病気や負傷によって業務に就けない時に、療養中の社会保障として支給される金銭給付です。
この制度を使う場合は、待機期間として3日連続会社を休んだ後、4日目以上の仕事に就けなかった日に対して傷病手当金が支給される仕組みとなります。
上限については最長で1年6ヶ月となりますので、長期に渡る入院や病気療養にも、この制度は使えると捉えて良いでしょう。
ちなみに類似の制度には雇用保険の傷病手当もありますが、こちらは休職中の人を対象とした存在となりますので、入院をした従業員への対応を行う事業主にとっては、関係のない存在と捉えください。
5~10日程度の入院は有給消化?傷病手当金?
5~10日といった比較的短期の入院と最初から決まっている場合は、有給消化で対応をする会社が多い傾向があります。
傷病手当金をもらえば、入院をする従業員は有給休暇を減らさずに済みます。
しかし傷病手当金を健康保険側に申請する場合は、医師に証明の記入をお願いする必要も出てきますので、そういった手間や文書作成料などを踏まえて考えると、短期入院は有給消化の方がメリットも高いと言えるでしょう。
10日以上の入院なら従業員と相談をしてみる
これに対して、例えば手術と療養を含めて14日で会社に復帰できるとわかっている場合は、判断が少し変わってきます。
例えば、当該従業員が前年の年次有給休暇を全く消化していない状態で40日間の残がある場合は、入院で有給消化を行っても十分に私用や定期通院で使える部分が残ると捉えて良いでしょう。
これに足して有給残が40日であるのに対して入院日数が30日の場合は、今後の定期通院やリフレッシュ、私用で用いる年次有給休暇を減らさないためにも、傷病手当金の申請をした方がメリットも高いと言えるでしょう。
ちなみに傷病手当金は、標準報酬月額に対して6割前後の支給額となりますので、この制度を用いることで当該期間の収入が減ることもきちんと従業員に説明をするようにしてください。