年次有給休暇の前借りは法律的に可能なのでしょうか?
年次有給休暇の前借りはできますか?
年次有給休暇に関する問い合わせの中には、「有給休暇の前借りに応じる必要はあるのか?」といった内容が非常に多く見受けられます。
例えば、計画性なく年次有給休暇を早く消化してしまった従業員に、通院や家の用事といった会社を休む必要性が出てきた場合は、お給料が少なくなる欠勤を避けるために「年次有給休暇の前借りをお願いできないでしょうか?」といった訴えが生じることがあるのです。
今回は、従業員からこのようなお願いが生じた時の対処法について、詳しく解説していきます。
年次有給休暇の前借りは労働基準法違反
今年度の年次有給休暇を全て使ってしまっていて、来年度の支給分から前借りをするのは、基本的に労働基準法違反となります。
年次有給休暇の法定支給日数は労働基準法で定められていますので、それを上回った支給を行ってしまうと、違反をした事業主も処罰対象となるため注意が必要です。
法定日数以上の年次有給休暇のある会社なら大丈夫
これに対して労働基準法で定められた日数以上の年次有給休暇を与えている会社では、法定年休を超える部分で前借りを含めた調整が可能です。
このような形で企業側が独自に設けた年次有給休暇の場合は、時効や消滅に関するルールも事業主が定められますので、就業規則の中できちんと規定をしていれば、前借りなどの対応を行っても問題はないと言えそうです。
年次有給休暇の前借りは基本的に行わない方が良い
年次有給休暇の前借りは、基本的におすすめできない存在です。
例えば、従業員からの依頼どおり来年度に支給予定だった5日の年次有給休暇を、今年に前借り可能にすると仮定します。
この従業員が翌年、突然会社を退職することになると、前借りをした年次有給休暇は一生戻ってこなくなってしまうのです。
また前借りのようなイレギュラーケースを1度認めると、多くの従業員が年次有給休暇の自転車操業状態に陥ることも想定されますので、会社における円滑な業務運営をしていく上では、あまり前借りを認めるべきではないと捉えた方が良いでしょう。