賞与支給日の前に退職した人が賞与を請求してきた場合の対処法
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賞与支給日前に退職した従業員から賞与請求があった!
これまで働いていた会社から少しでも多くのお金を支払わせたいと考える従業員の中には、既に退職をした後で「賞与をもらっていません!」といった主張をしてくる悪質な人たちも存在します。こうしたクレームに近い訴えが生じた時にはっきりと「払いません!」と伝えるためには、就業規則や賞与に関するルールを事業主も把握しておくべきだと言えるでしょう。今回は、「既に退職したスタッフにもボーナスを払う必要があるのか?」という疑問の答えを皆さんと一緒に確認していきます。
賞与の支払いは事業主の義務ではない
各企業で定める賞与(ボーナス)の支給は、事業主の義務ではありません。これに対して月給は、毎月きちんと支払う必要のある賃金となりますので、賞与と比べてトラブルの種になりやすい存在と捉えて良いでしょう。事業主の側で月給や時給などの賃金と賞与の混同をしていると、突然生じる従業員からの訴えに対応できなくなりますので、この両者の違いについてはきちんと頭に入れておくようにしてください。
支給日に在籍していない退職従業員には賞与支払う必要はある?
この問題の答えは、「会社に支給日在籍条項があるか?」といった部分に大きく依存します。例えば就業規則の賞与規程の中で「○月○日時点で在籍する従業員に賞与の支給を行なう」と定めると、その時点で退職している人にはボーナスを支払う必要がなくなります。これに対して支給日在籍条項が一切ない場合は、賞与を与える・もらえるといった部分における労使の認識にズレが生じる可能性が高まりますので、注意をするようにしてください。
支給日在籍条項がないと会社側にデメリットが生じることもある
過去の判例の中には、就業規則の中に支給日在籍条項を設けていない会社に対して、「賞与査定期間に在籍していた期間の割合に応じたボーナスの請求ができる」という判断が下されたケースも存在しています。また支給日在籍条項が全くない場合は、退職従業員への説得力といった部分でも会社側が弱い状況になりますので、多少面倒であってもきちんと就業規則の内容を整備しておくべきだと言えるでしょう。
退職従業員からの賞与請求で悩んだ時には?
退職従業員からの賞与請求が生じたタイミングで、ボーナスの支給日在籍条項が存在しない状態の場合は、相手から訴訟などを起こされないためにも早めに対応を行なうべきだと考えられます。こうした場合は事業主だけでは問題解決が難しくなりますので、労働基準法に詳しい弁護士に相談をして一緒に方向性を考えていくことが理想と言えるでしょう。