会社都合の休業日に有給休暇を認める必要がありますか?
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不況によって生じる会社都合による休業命令
不況によって工場に生産依頼が来なかったり、突然の社内設備の修理によって事業が継続できない場合は、本来労働義務のある就業日に休業命令を出すことも可能です。
このような状況で会社を休みにする場合は、その理由が雇用者の責任である限り、必ず休業手当として平均賃金の60%の支給を行なわなければなりません。
これは経営難による休業でも同じ対応が求められますので「会社を休業すれば賃金を支払う必要がなくなる」といった考えは改めるべきだと言えるでしょう。
休業命令の後に生じた有給休暇の申請は認めるべき?
ここで問題となるのは、会社側が指定した休業日に60%の賃金したもらえないことを知った従業員が、100%の支給を求めて年次有給休暇の申請を行なうトラブルです。
このような形で年次有給休暇の取得申請が出てきた場合は、基本的に却下をして構いません。
その理由は、会社側が指定した休業日に「労働義務がないから」です。
他の休業日に関しても同じ対応が求められる
年次有給休暇の取得申請の却下をすべきなのは、会社都合で突然決まった休業日だけではありません。
年度の最初から決まっている年末年始休暇やお盆休み、会社の創立記念日といった休業日についても、年次有給休暇の取得は基本的にできません。
しかしあまりにも業務多忙な会社の中で「普段はなかなか年次有給休暇が取得できないから、休業日に100%の賃金を支給して消化をしてもらおう」といった配慮がある場合は、特例として承認することが可能となります。
先に出ていた年次有給休暇の届け出は承認しなければならない
事業主側で休業日をまだ決めていない段階で従業員から年次有給休暇の届け出があがってきた場合は、この請求を承認する必要があります。
有給休暇の承認をすれば、事業主は100%の賃金を支払う必要が出てきますので、その理由が経費節減などの場合はなるべく早めにスケジュールを教える配慮が必要になると言えるでしょう。
休業日における年次有給休暇の申請で悩んだときには?
会社都合で突然設ける休業日に年次有給休暇の申請がたくさん出てきた場合は、多くの事業主がその判断に悩まされる傾向があります。
特に業務多忙によりなかなか年次有給休暇の取得が難しい企業の場合は、事業主の中に多少なりとも「このタイミングで有給休暇を消化させれば」という思いが生じることもあるでしょう。
こういったケースで従業員への返答や対応で迷いが生じた時には、労働基準法に詳しい弁護士に相談をして一緒に方向性を定めた方が良さそうです。